36.2. 六国史

りっこくとは奈良期~平安期に律令国家によって編纂された歴史書の総称で、『ほんしょ』『続日しょくにほん』『ほんこう』『続日しょくにほんこう』『もんとくてんのうじつろく』『さんだいじつろく』の 6つを指す。どれも漢文・編年体で記述されている。

(1) 日本書紀

ようろう4年(720) の成立、神代からとう天皇11年(697)までを記録している。全30巻。

Fig.690 日本書紀 第29巻 慶長年間(1596~1615) 写本 (部分・国立公文書館所蔵)

上はけいちょう年間(1596~1615) の写本 (国立公文書館所蔵) 第29巻 (#3967283) で、てん天皇10年(681) 8月20日に多祢 (禰) 国から国絵図が献上されたこと、天武天皇12年(683) 12月23日に「諸国之境堺 (諸國之境堺)」を明確化しようとしたこと、天武天皇13年(684) 4月12日に信濃国から国絵図が献上されたことが記されている。

断簡ではあるものの、平安・鎌倉期の古写本が現存し、奈良国立博物館所蔵で平安初期の写本と推定されている『田中本』が『日本書紀巻第十』として、京都国立博物館所蔵で 10~11世紀の写本と推定されている『岩崎本』が『日本書紀 巻第二十二 巻第二十四』として、京都国立博物館所蔵で弘安9年(1286) の日付のある『吉田本』が『日本書紀神代巻上下』として、それぞれ『e国宝』で公開されている。いずれも国宝に指定されている。

(2) 続日本紀

えんりゃく16年(797) の成立、もん天皇元年(697) ~延暦10年(791) の95年間を記録している。全40巻。

Fig.696 続日本紀 第8巻 慶長19年(1614) 写本 (国立公文書館所蔵)

上は慶長19年(1614) の写本 (国立公文書館所蔵) 第8巻 (#3988572)で、ようろう2年(718) 5月2日に安房あわいわいわしろの 4国、養老5年(721) 6月26日に諏方 () 国がそれぞれ分置されたことが記されている (『3. 前史』も参照)。

(3) 日本後紀

承和じょうわ7年(840) の成立、延暦11年(792) ~てんちょう10年(833) の42年間を記録している。全40巻だが、現存するのは第5巻から第24巻までの一部、10巻分。

Fig.693 日本後紀 第13巻 寛政11年(1799) 刊本 (国立公文書館所蔵)

上はかんせい11年(1799) の刊本 (国立公文書館所蔵) 第13巻 (#4317578)で、延暦24年(805) 10月25日に下総国 印旛いんば郡の鳥取駅、郡の山方駅、およびとり郡の真敷・荒海等の駅が廃止されたことが記されている。

(4) 続日本後紀

じょうがん11年(869) の成立、天長10年(833) ~嘉祥かしょう3年(850年) の18年間を記録している。全20巻。

Fig.695 続日本後紀 第5巻 慶長19年(1614) 写本 (国立公文書館所蔵)

上は慶長19年(1614) の写本 (国立公文書館所蔵) 第5巻 (#3984470)で、承和3年(836) 5月9日に下総国 香取神宮と日立国 鹿しま神宮の祭神に官位が与えられたことが記されている。

(5) 文徳天皇実録 (日本文徳天皇実録)

がんぎょう3年(879) の成立、嘉祥3年(850) ~てんあん2年(858) の8年間を記録している。全10巻

Fig.694 文徳天皇実録 第10巻 慶長19年(1614) 写本 (国立公文書館所蔵)

上は慶長19年(1614) の写本 (国立公文書館所蔵) 第10巻 (#3966373)で、天安2年(858) 5月2日に常陸ひたちつく山の神 2柱 (筑波神社の筑波女大神・筑波男大神) に官位が与えられたことが記されている。

(6) 三代実録 (日本三代実録)

えん元年(901) の成立、てんあん2年(858)~にん3年(887) 年の 30年間を記録している。全50巻。

Fig.697 三代実録 第13巻 慶長19年(1614) 写本 (国立公文書館所蔵)

上は慶長19年(1614) の写本 (国立公文書館所蔵) 第13巻 (#4024813)で、貞観8年(866) 7月9日には、広野河 (木曽川) の流路を巡ってわり国・国の間で発生した「広野河事件」について報告がある (流路変更の工事を行っていた尾張国を美濃国が襲撃した)。