38. 諸情報
38.1. 市制・町村制と府県制・郡制
(1) 郡区町村編制法

明治11年(1878) 制定。明治4年(1871年) 以来の「大区小区制」を廃止し、あらためて郡町村と大都市については区を定め、町村を包含する広域地域単位として郡が復活した。大区小区制では郡とは関係なく「大区」「小区」が設定されたが、地域の事情にそぐわず行政上の不便も多かった。あわせて武蔵国 かつしか郡の東葛飾郡・西葛飾郡・南葛飾郡・北葛飾郡・中葛飾郡のように広過ぎる郡の分割も行われた。

(2) 市制・町村制

明治21年(1888) 制定。市町村の自治体としての組織の整備が進み、「区」からの移行分も含めてここで「市」が生まれた。施行時期は府県・地域によって異なる。地理的な観点ではここで町村の合併が促進され、前後して 71,314あった町村は 15,820にまで減少した※1(明治の大合併)。

(3) 府県・郡制

明治23(1890) 制定・明治32年(1899) 全面改正の地方行政制度。府県郡を改めて規定・整備し、郡についてはここで本格的に組織化された。このため郡の統廃合が多く行われた。

(4) 施行時期

郡区町村編制法・市制・町村制・府県・郡制は全国で一斉に行われたものではなく、表にまとめると以下のようになる※2※3。北海道・沖縄県については特例が多く、同じ枠組みではまとめられないため省略した。

府県郡区町村編制法※4市制町村制府県制郡制備考
青森11.10.30※522.04.0124.08.0124.04.01市制: 弘前市
岩手12.01.04※622.04.0130.07.0130.04.01市制: 盛岡市
宮城11.11.01※722.04.0127.07.0127.04.01市制: 仙台市
秋田12.01.15※822.04.0124.08.0124.04.01市制: 秋田市
山形11.11.01※922.04.0124.08.0124.04.01市制: 山形市 ・ 米沢市
福島12.01.27※10n/a22.04.0131.02.0130.10.01
府県郡区町村編制法市制町村制府県制郡制備考
茨城11.12.02※1122.04.0129.10.0129.07.01市制: 水戸市
栃木11.11.08※12n/a22.04.0130.10.0130.07.01
群馬11.12.07※13n/a22.04.0130.04.0129.07.15
埼玉12.03.17※14n/a22.04.0130.04.0129.08.01
千葉11.11.02※15n/a22.04.0130.10.0130.04.01
東京11.11.02※1622.05.0132.07.01市制: 東京市
神奈川11.11.26※1722.04.0132.07.01市制: 横浜市
府県郡区町村編制法市制町村制府県制郡制備考
新潟12.04.28※1822.04.0130.04.0130.01.01市制: 新潟市
富山n/a22.04.0129.07.0129.06.01市制: 富山市 ・ 高岡市、郡区町村編制法は石川県・滋賀県の一部として施行された (当時は分県前)。
石川11.12.17※1922.04.0124.10.0124.07.01市制: 金沢市
福井n/a22.04.0124.08.0124.04.01市制: 福井市、郡区町村編制法は石川県の一部として施行された (当時は分県前)。
山梨11.12.19※2022.07.0124.10.0124.08.01市制: 甲府市
長野12.01.04※21n/a22.04.0124.07.0124.04.01
岐阜12.02.18※2222.07.0130.10.0130.08.01市制: 岐阜市
静岡12.03.12※2322.04.0130.04.0129.09.01市制: 静岡市
愛知11.12.20※2422.10.0125.10.0124.04.01市制: 名古屋市
三重12.02.05※2522.04.0131.04.0130.09.01市制: 津市
府県郡区町村編制法市制町村制府県制郡制備考
滋賀12.05.16※26n/a22.04.0131.08.0131.04.01
京都12.03.14※2722.04.0132.07.01市制: 京都市
大阪12.02.10 (大阪府)※28 ・ 13.04.15 (堺県)※2922.04.0132.07.0131.06.01市制: 大阪市 ・ 堺市
兵庫12.01.08※3022.04.0129.10.0129.07.01市制: 神戸市 ・ 姫路市
奈良n/an/a22.04.0131.03.0130.08.01郡区町村編制法は堺県の一部として施行された (当時は分県前)。
和歌山12.01.20※3122.04.0131.09.0130.09.01市制: 和歌山市
府県郡区町村編制法市制町村制府県制郡制備考
鳥取n/a22.10.0130.04.0129.09.01市制: 鳥取市、郡区町村編制法は島根県の一部として施行された (当時は分県前)。
島根12.01.06※3222.04.0131.04.0129.08.01市制: 松江市
岡山11.09.20※3322.06.0132.07.0132.04.01市制: 岡山市
広島11.11.01※3422.04.0132.07.01市制: 広島市
山口12.01.06※3522.04.0130.04.0129.09.01市制: 赤間関市
府県郡区町村編制法市制町村制府県制郡制備考
徳島n/a22.10.0124.09.0124.04.01市制: 徳島市、郡区町村編制法は高知県の一部として施行された (当時は分県前)。
香川n/a23.02.1532.07.01市制: 高松市、郡区町村編制法は愛媛県の一部として施行された (当時は分県前)。
愛媛11.12.26※3622.12.1530.10.0130.04.01市制: 松山市
高知12.01.14※3722.04.0124.09.0124.04.01市制: 高知市
府県郡区町村編制法市制町村制府県制郡制備考
福岡11.11.01※3822.04.0129.10.0129.07.01市制: 福岡市 ・ 久留米市
佐賀n/a22.04.0130.09.0130.06.01市制: 佐賀市、郡区町村編制法は長崎県の一部として施行された (当時は分県前)。
長崎11.10.28※3922.04.0130.09.0130.04.01市制: 長崎市
熊本12.01.20※4022.04.0129.09.0129.06.01市制: 熊本市
大分11.11.01※41n/a22.04.0124.08.0124.04.01
宮崎n/an/a22.05.0130.09.0130.04.01郡区町村編制法は鹿児島県の一部として施行された (当時は分県前)。
鹿児島12.02.17※4222.04.0131.09.0131.04.01市制: 鹿児島市
^ ※1: 『自治五十年史 制度篇 』(1940/1977)
^ ※2: 年はすべて明治。
^ ※3: 郡区町村編制法以外は『自治五十年史 制度篇 』(1940/1977)による
^ ※4: 多くの府県で布達類は郡域・郡役所・郡長などについてそれぞれ発布された。各注釈ではそれらのうち本体と考えられるものを記載した。また施行は具体的に記載があればその年月日とし、なければその布達をもって施行されたとみなした (本体とは別に施行に関係する布達があれば併記した)。
^ ※5: 甲第114号 (明治11年(1878) 10月30日付)『青森県史 第8巻』(1926) cc.31-32。
^ ※6: 坤第1号 (明治12年(1879) 1月4日付)、郡役所開庁は坤第5号 (明治12年(1879) 1月6日付) により明治12年(1879) 1月15日『巌手県布達全書 明治12年 第1巻』(1883)
^ ※7: 『現行宮城県布達類纂 第1編1』『宮城県史 33 資料篇10』(1975)
^ ※8: 『現行秋田県法規 上』(1889)
^ ※9: 『山形県史 資料篇19 近現代史料1』(1978)。
^ ※10: 甲第7号 (明治12年 1月27日付)『福島県規則類纂 上』(1903) cc.14-15。
^ ※11: 丙第123号 (明治11年(1878) 12月2日付)『茨城県令達類纂 上巻』(1895) cc.12-13。
^ ※12: 『栃木県史 史料編 近現代1』(1976)。
^ ※13: 『群馬県史 資料編21 近代現代5 政治・社会』(1987)。
^ ※14: 甲第19号 (明治12年(1879) 3月17日付)『現行類輯埼玉県達全書』(1886) c.35。
^ ※15: 『千葉県史料 近代篇 郡制 上』(1986)
^ ※16: 甲第49号 (明治11年(1878) 11月2日付) 『現行東京府布令類纂』(1898) c.359。
^ ※17: 甲第156号 (明治11年(1878) 11月26日付)、同布達により開庁は同年 12月2日 『川崎市史 資料編3 近代』(1990) c.61。
^ ※18: 甲第42号 (明治12年(1879) 4月28日付)『白根市史 巻4 近世・近代史料』(1986) cc.471-472・『黒埼町史 資料編3』(1994) c.128。郡役所開庁は甲第67号 (明治12年(1879) 5月6日付) により明治12年(1879) 5月12日~19日『新潟県史 資料編15 近代3 政治編1』(1982) cc.82-83。
^ ※19: 甲143番 (明治11年(1878) 12月17日付)、郡役所開庁は甲第51号 (明治12年(1879) 6月10日付) により明治12年(1879) 7月1日『福井県史 資料編10 近現代1』(1983)
^ ※20: 甲第267号 (明治11年(1878) 12月19日付)『明治11年12月 両仮名附 山梨県布達之写』(1879)。郡役所開庁は明治12年(1879) 1月25日 (『山梨県史料 政治部 県治 自明治元年至同13年』 c.40)。
^ ※21: 乙第1号 (明治12年(1879) 1月4日付)、郡役所開庁は乙第2号 (同) により明治12年(1879) 1月21日『長野県史 近代史料編 第2巻2 郡政 』(1982) cc.22-23。
^ ※22: 甲第10号 (明治12年(1879) 2月18日付)、郡役所開庁は甲第14号 (明治12年(1879) 2月25日付)により明治12年(1879) 3月15日『現行岐阜県布達類纂 1』(1884) cc.67-68。
^ ※23: 甲第36号 (明治12年(1879) 3月12日付)『現行静岡県令達類纂 上巻』(1890) c.42。郡役所開庁は乙第26号 (明治12年(1879) 3月12日付)により明治12年(1879) 3月25日『静岡県志太郡誌』(1916) c.123。
^ ※24: 甲第190号 (明治11年(1878) 12月20日付)、郡役所開庁は甲第197号 (同)により明治11年(1878) 12月27日『愛知郡誌』(1923) c.130。
^ ※25: 甲第1号 (明治12年(1879) 2月5日付)、郡役所開庁は甲第7号 (明治12年(1879) 2月13日付) により明治12年(1879) 2月15~25日『三重県史 資料編 近代1 政治・行政1』(1987) cc.253-254, 257。
^ ※26: 甲第32号 (明治12年(1879) 5月16日付)、郡役所開庁は甲第51号 (明治12年(1879) 6月10日付) により明治12年(1879) 7月1日『現行滋賀県布令類纂 第1巻』(1882) cc.62, 120。
^ ※27: 『宇治田原町史 第2巻』(1988) ・ 『三和町史 下巻 通史編』(1996)
^ ※28: 天第22号 (明治12年(1879) 2月10日付)、郡役所開庁は天第23号 (同) により明治12年(1879) 3月1日『類聚大阪府布達全書 第1巻』(1885) cc.223, 225。
^ ※29: 甲第36号 (明治13年(1880) 4月15日付)、郡役所開庁は甲第40号 (同年同月21日付) により明治13年(1880) 5月1日『羽曳野資料叢書 第8巻 堺県法令集4』(1995) cc.57, 62。
^ ※30: 甲第1号 (明治12年(1879) 1月8日付)『類聚現行兵庫県令達全書 第1巻』(1887) cc.71-72。
^ ※31: 『和歌山県史 近現代1』(1989)。
^ ※32: 甲第1号 (明治12年(1879) 1月6日付)、郡役所開庁は甲第36号 (明治12年(1879) 2月15日付) により明治12年(1879) 2月1~17日『新修島根県史 史料篇4 近代 上』(1966) c.379。
^ ※33: 『岡山県布達類聚目録 自明治8年7月至12年6月』(1880)『岡山市百年史 上巻』(1989)
^ ※34: 『広島県史 近代現代資料編1』(1973)
^ ※35: 甲第1号 (明治12年(1878) 1月6日付)『明治12年上半期分 類輯山口布達達書』(1880) cc.64-65。
^ ※36: 『愛媛県史 資料編 近代1』(1984)。
^ ※37: 甲第267号 (明治11年(1878) 12月6日付)、郡役所開庁は甲第291号 (明治11年(1878) 12月24日付) により明治12年(1879) 1月4日『徳島市史 第2巻 行政編・財政編』(1976) cc.281-282。
^ ※38: 『福岡県発令全報 第3編』(1879)
^ ※39: 『長崎県議会史』(1963)
^ ※40: 『新熊本市史 史料編 第6巻 近代1』(1997)
^ ※41: 『大分県町村沿革誌』(1909)
^ ※42: 県布達類不明、明治12年(1879) 2月17日付で施行、同年 3月5日付で郡役所開庁、『鹿児島県史 第4巻』(1943) c.47。