ここでは、江戸期 (江戸時代) に全国規模で作成された国絵図のうち、対馬国絵図について詳細をまとめています。一覧は末尾にあります。

概要

対馬国 (対州) は五畿七道のうち西海道に属する国である。国立公文書館所蔵の『天保対馬国絵図』は紅葉山文庫旧蔵が現存し、『天保国絵図対馬国』(#764192) としてオンライン公開されている。

Fig.806 天保対馬国絵図 (国立公文書館 所蔵)
Fig.806 天保対馬国絵図 (国立公文書館 所蔵)

対馬国はオンラインで参照可能な国絵図が『余州図』『天保対馬国絵図』だけであり、最小限に留まる。

日本六十余州国々切絵図 対馬国

日本六十余州国々切絵図 (余州図) は、江戸期 (江戸時代) に全国規模で作成されたと考えられている国絵図の 2番目、寛永年間(1624~1644) に作成された寛永国絵図の略図・縮図と考えられている国絵図である。余州図は五畿七道 68国のすべてが秋田県公文書館に現存し、「日本六十余州国々切絵図」の通称も同館のものによる。『日本六十余州国々切絵図 対馬国』は文字どおりに対馬国の余州図であり、『日本六十余州国々切絵図 対馬国』として秋田県公文書館デジタルアーカイブでオンライン公開され、大きさは東西 47cm × 南北 92cm である。

Fig.985 日本六十余州国々切絵図 対馬国 (『対馬国[西海道図]』 ・ 京都大学附属図書館所蔵 ・ 貴重資料デジタルアーカイブ公開)
Fig.985 日本六十余州国々切絵図 対馬国 (『対馬国[西海道図]』・京都大学附属図書館所蔵・貴重資料デジタルアーカイブ公開)

上に示したのは『対馬国[西海道図]』 であり、京都大学 貴重資料デジタルアーカイブで公開され、大きさは東西 77cm × 南北105cmである。またほかに『〔対馬国絵図〕』(#T1-65)岡山大学 絵図公開データベースシステム で公開され、東西 77.8cm × 南北 107.0cm である。

松平乗命旧蔵

国立公文書館所蔵、松平乗命旧蔵の国絵図群 (通称『日本分国絵図』) には対馬国のものが含まれ、現存する (『対馬国図』(#725007))。オンラインでは公開されていない。

この松平乗命旧蔵の国絵図群には、松平乗命から明治政府へ渡る前後 (明治5~6年(1872~1873))に、京都府が一式を借用して忠実に模写したものも存在し、京都府立京都学・歴彩館に現存、館古044: 国絵図という一群で管理されている。その『対馬国絵図』もオンラインでは公開されていないが、目録は国立公文書館デジタルアーカイブよりも充実している。

それによれば、本図には石高の記載はなく (国郡村すべてと思われる)、郡名も書かれていない。したがって本図の性質を明らかにするためには様式など確認する必要がある。大きさは東西 129.5cm × 南北138.0cmとある※1

注釈

元禄対馬国絵図

元禄対馬国絵図』は、江戸期 (江戸時代) に全国規模で作成された国絵図の 4番目、元禄年間(1688~1704) に作成された元禄国絵図のうち対馬国のものである。元禄国絵図は国立公文書館下総常陸日向薩摩大隅は正本、五畿 (大和山城河内和泉摂津) と近江丹波播磨は写本として現存するが (本稿の対象ではない、五畿七道 68国以外を除く)、対馬国のものは含まれない。

一方、長崎県対馬歴史研究センター (旧・対馬歴史民俗資料館) には現存し、『対馬歴史民俗資料館報 第25号』(2002) や『長崎県対馬歴史研究センター所報 1号』(2021) でこれを確認できる。なお「対馬宗家文庫史料検索システム」で検索すると「閲覧不可」「現在、この資料を閲覧することができません」と表示される。このシステムは閲覧予約も兼ねているため、「原本の閲覧はできない」という意味かと思われる。『対馬歴史民俗資料館報 第25号』(2002) の当時と変わりなければ、常設展示されているのは 1/4の大きさのレプリカのようだ。

東京文化財研究所の「年紀資料集成データベース」によれば、長崎県対馬歴史研究センターの元禄対馬国絵図は 2種類が現存し、このデータベースにおける IDで #10364とあるものは、大きさが東西 172.9cm × 南北 372.8cm で、余白部分 (畾紙) の目録に村数 (上県郡 57村・下県郡 67村) と「村高之儀年々増減有之」「従前々高不相極候」の付記、および元禄13年(1700) 1月の日付 (『元禄十三年庚辰歳正月』) と宗対馬の名前が記載されている。内容から控図と考えられ、またふつう参照されるのはこちらであり、長崎県対馬歴史研究センターのトップページ背景画像にも設定されている。もう一方の #6516は大きさが同じだが、目録といえる部分はないらしく、余白部分 (畾紙) のいずれかの箇所に元禄13年(1700) 1月の日付だけが記載されている。

天保対馬国絵図

天保対馬国絵図』は、江戸期に全国規模で作成された国絵図の最後、天保年間(1830~1844) に作成された天保国絵図のうち対馬国のものである。冒頭で言及したとおり、『天保対馬国絵図』は国立公文書館に紅葉山文庫旧蔵が現存し、『天保国絵図対馬国』(#764192) としてオンライン公開されている。

紅葉山文庫※1は江戸城内にあった、将軍の利用を原則とする書庫 (図書館) であり、勘定所は勘定奉行を長とする役所である。したがって紅葉山文庫旧蔵は保存と限定的な参照を目的に納められたもの、勘定所旧蔵は実務に供されたものとなるが、紅葉山文庫旧蔵も必要に応じて借用・参照されたようである※2

『天保対馬国絵図』の大きさは東西 170cm × 南北 346cm で、目録の奥書部分には、全国一律に天保9年(1838) の日付 (『天保9年戊戌五月』) と明楽飛騨守・田口五郎左衛門・大沢主馬の名前が記されている。

注釈

一覧

更新履歴

内容

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  • 日本六十余州国々切絵図の記事について、表題を『日本六十余州国々切絵図 対馬国』に変更し、説明を整理した。
  • 『元禄対馬国絵図』『天保対馬国絵図』について説明を整理した。

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  • 日本六十余州国々切絵図・松平乗命旧蔵・『天保対馬国絵図』の記事を追加した。
  • 『元禄対馬国絵図』の記事を追補した。

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  • 導入文を追加し、概要を追補した。

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  • 導入文を追加し、概要を追補した。
  • 『元禄対馬国絵図』についての情報を分離し、独立した記事にまとめた。

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  • 構成を再整理し、概要を追加した。誤字・脱字を適宜修正した。
  • 『天保対馬国絵図』について外観を示した。

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  • 新規作成。