ここでは、江戸期 (江戸時代) に全国規模で作成された国絵図のうち、隠岐国絵図について詳細をまとめています。一覧は末尾にあります。

概要

隠岐国 (隠州) は、五畿七道のうち山陰道に属する国である。国立公文書館所蔵の『天保隠岐国絵図』は紅葉山文庫旧蔵が現存し、『天保国絵図隠岐国』(#764217) としてオンライン公開されている。

Fig.884 天保隠岐国絵図 (国立公文書館所蔵)
Fig.884 天保隠岐国絵図 (国立公文書館所蔵)

島根県関係の国絵図 (石見・出雲・隠岐 3国) は『島根の国絵図』(1994) に集成されている。書誌情報によれば『石見国図』(毛利氏領国時代の石見国図)・『寛永隠岐国絵図』が興味深い (後者が本来の『寛永国絵図』なのか『余州図』なのかは不明)。

日本六十余州国々切絵図 隠岐国

日本六十余州国々切絵図 (余州図) は、江戸期 (江戸時代) に全国規模で作成されたと考えられている国絵図の 2番目、寛永年間(1624~1644) に作成された寛永国絵図の略図・縮図と考えられている国絵図である。余州図は五畿七道 68国のすべてが秋田県公文書館に現存し、「日本六十余州国々切絵図」の通称も同館のものによる。『日本六十余州国々切絵図 隠岐国』は文字どおりに隠岐国の余州図であり、『日本六十余州国々切絵図 隠岐国』として秋田県公文書館デジタルアーカイブでオンライン公開され、大きさは東西 68cm × 南北 101cm である。

Fig.980 日本六十余州国々切絵図 隠岐国 (『隠岐国[山陰道図]』・京都大学附属図書館所蔵・貴重資料デジタルアーカイブ公開)
Fig.980 日本六十余州国々切絵図 隠岐国 (『隠岐国[山陰道図]』・京都大学附属図書館所蔵・貴重資料デジタルアーカイブ公開)

上に示したのは『隠岐国[山陰道図]』 で、京都大学 貴重資料デジタルアーカイブで公開され、大きさは東西 77cm × 南北 106cm である。 ほかに『〔隠岐国絵図〕』(T1-77)岡山大学 絵図公開データベースシステム で公開され、大きさは東西 78.5cm × 南北 109.8cm である。

ライデン大学付属図書館所蔵

ライデン大学図書館 (Universitaire Bibliotheken Leidens)では『隠岐国絵図 (Oki no kuni ezu)』が現存・オンライン公開されている。

Fig.778 隠岐国絵図 (ライデン大学図書館 Universitaire Bibliotheken Leidens 所蔵)
Fig.778 隠岐国絵図 (ライデン大学図書館 Universitaire Bibliotheken Leidens 所蔵)

『小野寺』によれば、大きさは東西 93.5cm × 南北114.5cmで、「図形は、寛永10年の余州図系統とほぼ一致している」とあるように、前項の日本六十余州国々切絵図の形状・大きさともにそのままである。『小野寺』では「村数と村高は正保期のそれ」とされ、余州図をベースに「正保期の情報を加えたものと考えられる」と結論づけられている。

ただ、「村数と村高は正保期のそれ」であるのかどうかは、『西郷町誌 上巻』(1975) で論じられているように※1隠岐国の江戸前期の石高には混乱があってはっきりしないことから、断定することは難しいように感じられる。また正式に幕府に提出されたものか、あるいは何らかの理由により国許で作成されたものかも明確化すべき課題と思われる。前者であれば『寛永隠岐国絵図』と考えるが自然で、その場合ほかにも同様の国はあったのか、なければなぜ隠岐国だけこの形態になったのか、後者であれば、それがなぜ本図が写されることになったのか、それぞれが問題となる。

注釈

正保隠岐国絵図

正保隠岐国絵図』は、江戸期 (江戸時代) に全国規模で作成された国絵図の 3番目、正保年間(1644~1648) から慶安年間(1648~1652) にかけて作成された正保国絵図のうち隠岐国のものである。『正保隠岐国絵図』は単体では存在せず、出雲国と合わせてひとつの絵図に描かれている。

Fig.882 正保出雲・隠岐国絵図 (中川忠英旧蔵・国立公文書館所蔵)
Fig.882 正保出雲・隠岐国絵図 (中川忠英旧蔵・国立公文書館所蔵)

上に示したのは中川忠英旧蔵の『正保出雲国・隠岐国絵図』である。ほかに松平乗命旧蔵のものがある。それぞれ出雲国における記事、中川忠英旧蔵松平乗命旧蔵を参照のこと。

天保隠岐国絵図

天保隠岐国絵図』は、江戸期に全国規模で作成された国絵図の最後、天保年間(1830~1844) に作成された天保国絵図のうち隠岐国のものである。冒頭で言及したとおり、『天保隠岐国絵図』は国立公文書館に紅葉山文庫旧蔵が現存し、『天保国絵図隠岐国』(#764217) としてオンライン公開されている。

紅葉山文庫※1は江戸城内にあった、将軍の利用を原則とする書庫 (図書館) であり、勘定所は勘定奉行を長とする役所である。したがって紅葉山文庫旧蔵は保存と限定的な参照を目的に納められたもの、勘定所旧蔵は実務に供されたものとなるが、紅葉山文庫旧蔵も必要に応じて借用・参照されたようである※2

『天保隠岐国絵図』は大きさが東西 231cm × 南北 255cm で、目録の奥書部分には、全国一律に天保9年(1838) の日付 (『天保九年戊戌五月』) と明楽飛騨守・田口五郎左衛門・大沢主馬の名前が記されている。

注釈

一覧

更新履歴

内容

:

  • 外観とメニュー類をリニューアルした。
  • 『天保隠岐国絵図』の記事を若干、追補した。

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  • 日本六十余州国々切絵図の記事について、表題を『日本六十余州国々切絵図 隠岐国』に変更し、説明を整理した。

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  • 日本六十余州国々切絵図の記事を追加した。
  • 『ライデン大学付属図書館所蔵』の記事を追補した。

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  • 松平乗命旧蔵を一覧に追加した。
  • 『天保隠岐国絵図』の記事を追加した。

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  • 導入文を追加し、概要を追補した。

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  • 『天保隠岐国絵図』について外観を示した。
  • 中川忠英旧蔵を一覧に追加した。

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  • 構成を再整理し、概要を追加した。誤字・脱字を適宜修正した。
  • 同様に一覧表の備考に記載されていた記事を外に出して、表現などわかりづらいところを適宜、見直した。
  • ライデン大学付属図書館所蔵の『隠岐国絵図』について外観を示した。

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  • 新規作成。