オンラインで参照できる甲斐国絵図 (甲斐国の国絵図) のリストと詳細情報を提供しているページです。

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(1) 概要

甲斐国 (甲州) は東海道に属する国である。国立公文書館所蔵の『天保甲斐国絵図』は紅葉山文庫旧蔵 (#3146787) が現存・オンライン公開されている。

Fig.767 天保甲斐国絵図 (国立公文書館所蔵)

『正保甲斐国絵図』はオンライン公開されていないため、甲斐国 (甲州) の参照可能な国絵図は最小限である。

(2) 松平乗命旧蔵

国立公文書館所蔵、松平乗命旧蔵の国絵図群 (通称『日本分国絵図』) には甲斐国のものが含まれ、現存する (#725267)。オンラインでは公開されていない。

この松平乗命旧蔵の国絵図群には、松平乗命から明治政府へ渡る前後 (明治5~6年(1872~1873))に、京都府が一式を借用して忠実に模写したものも存在し、京都府立京都学・歴彩館に現存、館古044: 国絵図という一群で管理されている。その『甲斐国絵図』もオンラインでは公開されていないが、目録は国立公文書館デジタルアーカイブよりも充実し、国郡高が記載されている。表にまとめれば以下のとおり。

松平乗命旧蔵※1慶長6年(1601)※2
18,418.020石18,418.020石※3
やつしろ55,437.525石223,244.686石※4
山梨郡66,843.773石
101,962.988石
総計 (国高)241,662.706石241,662.706石※5

上記のとおり、本図の国郡高は江戸初期 (織豊末期) と一致する。この国郡高は少なくとも元禄郷帳の数値より小さいことから、本図は元禄国絵図より以前の、江戸前期の国絵図であることは間違いないといえる。しかしこれ以上は国郡高から特定することはできず、内容を検討する必要がある。

注釈
^ ※1: 京都府立京都学・歴彩館の目録による。
^ ※2: 『甲斐国志』第1巻に示されている (c.20)、「古高」と呼ばれる慶長6年(1601) の石高。
^ ※3: 「都留郡ノ高ナリ此時ハ鳥居上佐守知行所」として示されている「高壹萬八千四百拾八石貳升」。
^ ※4: 「山梨・八代・巨摩三郡」(中黒を含む句読点は筆者が補う) の寺社領以外として示されている「高貳拾壹萬九千七百六拾七石三斗九升壹合」(219,767.391石) と「三郡ノ内寺社領」の「三千四百七拾七石二斗九升五合」(3,477.295石) の合計。
^ ※5: 「合貳拾四萬千六百六拾貳石七斗六合 」。
(3) 元禄甲斐国絵図

『元禄甲斐国絵図』は奈良県 大和郡山市の柳沢文庫に現存する。『柳沢文庫収蔵品仮目録 1』(1983) によれば、元禄15年(1702) 12月の日付を持つ甲斐国絵図が 2枚所蔵され、そのうちの 1枚のサイズは 435×364cmとある。

「柳沢文庫」は大和郡山藩主・柳沢氏に由来する。この柳沢氏は元禄国絵図が作成された当時は甲府藩主であり、享保9年(1724) に郡山藩に移封となってそのまま明治維新を迎えた。『天保甲斐国絵図』の大きさは東西 399cm×南北 357cmであるので、前述の 1枚はそれよりも大きい。控図として作成されたものか、またはほぼ最終版といえる下絵図が国許に残され、柳沢氏の移封にともなって大和郡山に移ったのだろう。いずれにせよ、ほとんど原本と変わらない緻密に描き込まれたものと想像される。しかし同文庫にはデジタルアーカイブのようなものはなく、この『元禄甲斐国絵図』をオンラインで参照できないのは非常に残念である。

レファレンス共同データベース#1000285833によれば『山梨県史 資料編8 近世1』に別刷の付図として収録されているとみられるが、サイズは 59×68cmとあるので、外観を確認できる以上のものではないだろう。

柳沢文庫以外では『山岳 第10年 第1号』(1915) の記事中に「内閣文庫所蔵の甲斐国絵図は、享保年間に元禄図を基として修補した極彩色の絵図 (內閣文庫所藏の甲斐國繪圖は、享保年間に元祿圖を基として修補した極彩色の繪圖)」、『文献 第3号』(1960) の記事「内閣文庫地理関係資料展示会 (內閣文庫地理關係資料展示會)」の中に「甲斐国絵図 (甲斐國繪圖)」「元禄国絵図模本 (元祿國繪圖模本)」とそれぞれあることから、国立公文書館の中川忠英旧蔵・松平乗命旧蔵のどちらでもない『甲斐国絵図』が『元禄甲斐国絵図』であるようだ※1。この可能性があるものに『甲斐国絵図』(#1243235 / 177-0529)『甲斐国絵図』(#1225274 / 177-1051) があるものの、どちらの目録も『改訂 内閣文庫国書分類目録 下』(1975)も情報はゼロに等しく、これ以上はわからない。

(4) 一覧

『凡例』

種別参照可否確定名称等所蔵・公開備考
確定根拠
余州当該国絵図であることが確定した、村名の文字を明瞭に判読可能な高解像度の画像がオンライン公開されている。所蔵#15713秋田県公文書館 デジタルアーカイブ
余州当該国絵図であることが確定した、村名の文字を明瞭に判読可能な高解像度の画像がオンライン公開されている。筆者T1-72岡山大学 絵図公開 データベースシステム
余州当該国絵図であることが確定した、村名の文字を明瞭に判読可能な高解像度の画像がオンライン公開されている。筆者甲斐国[東海道図]京都大学貴重資料 デジタルアーカイブ
正保当該国絵図であることが確定しているが非公開、オンラインで参照できない。福井松平乗命旧蔵国立公文書館 デジタルアーカイブ参照
元禄当該国絵図であることが確定しているが非公開、オンラインで参照できない。筆者元禄甲斐国絵図柳沢文庫参照
天保当該国絵図であることが確定した、村名の文字を明瞭に判読可能な高解像度の画像がオンライン公開されている。所蔵#3146787国立公文書館 デジタルアーカイブ正 (紅葉山)
(5) 更新履歴

2026.03.22:

2026.02.18:

2026.01.31:

2026.01.02:

注釈
^ ※1: 中川忠英旧蔵に甲斐国のものは含まれない。松平乗命旧蔵については前項のとおりであり、少なくとも『元禄甲斐国絵図』ではない。