伊勢国絵図

ここでは、江戸期 (江戸時代) に全国規模で作成された国絵図のうち、伊勢国絵図について詳細をまとめています。一覧は末尾にあります。

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(1) 概要

伊勢国 (勢州) は五畿七道のうち東海道に属する国である。国立公文書館所蔵の『天保伊勢国絵図』は勘定所旧蔵が現存し、『天保国絵図伊勢国』(#764273) としてオンライン公開されている。

Fig.762 天保伊勢国絵図 (国立公文書館所蔵)
Fig.762 天保伊勢国絵図 (国立公文書館所蔵)

伊勢国については正保以降の国絵図 (正保元禄天保) が現存し、これは比較的充実しているほうである。また、三重県所蔵の『正保伊勢国絵図』を含む、同県関係の国絵図は『三重県史 別編 絵図・地図』(1994) で参照できる。しかし出版物のため解像度は限定される。またこの存在からか、国絵図を同県の歴史遺産として広くオンライン公開しようという積極性は、残念ながら三重県から感じ取ることはできない。

古代の伊勢・志摩・紀伊 3国の国界については『23.4. 伊勢・志摩・紀伊の天保国絵図』を、美濃・尾張・伊勢の国界の変遷については『21. 木曽川・伊勢湾』を参照。

(2) 日本六十余州国々切絵図

日本六十余州国々切絵図 (余州図) は、江戸期 (江戸時代) に全国規模で作成されたと考えられている国絵図の 2番目、寛永年間(1624~1644) に作成された寛永国絵図の略図・縮図と考えられている国絵図である。余州図は五畿七道 68国のすべてが秋田県公文書館に現存し、「日本六十余州国々切絵図」の通称も同館のものによる。『日本六十余州国々切絵図 伊勢国』は文字どおりに伊勢国の余州図であり、『日本六十余州国々切絵図 伊勢国』(#15729) として秋田県公文書館デジタルアーカイブでオンライン公開され、大きさは東西 96cm × 南北 125cm である。

ほかに『伊勢国[東海道図]』京都大学 貴重資料デジタルアーカイブで公開され、大きさは東西 115cm × 南北 160cm、『〔伊勢国絵図〕』(T1-50)岡山大学 絵図公開データベースシステム で公開され、大きさは東西 116.8cm × 南北 163.8cm である。

(3) 正保伊勢国絵図

正保伊勢国絵図』は、江戸期 (江戸時代) に全国規模で作成されたと考えられている国絵図の 3番目、正保年間(1644~1648) から慶安年間(1648~1652) にかけて作成された正保国絵図のうち伊勢国のものである。『正保伊勢国絵図』は鎮国守国神社のものが現存し、前述のように『三重県史 別編 絵図・地図』(1994)で参照できる。

Fig.948 正保伊勢国絵図 (『三重県史 別編 絵図 ・ 地図』(1994) 所収 ・ 鎮国守国神社所蔵)
Fig.948 正保伊勢国絵図 (『三重県史 別編 絵図・地図』(1994) 所収・鎮国守国神社所蔵)

『三重県史』によれば、本図の大きさは東西 355cm × 南北 510cm で※1、「控図」(本文解題、『控絵図と思われる』) または『元禄伊勢国絵図』作成に当たって写されたもの (巻末収録絵図・地図一覧、『元禄期写』) である。どちらが正しいのかはわからない。鎮国守国神社には別に色味などが異なる 1枚も現存するという。

注釈

(4) 元禄伊勢国絵図

『元禄伊勢国絵図』は『正保伊勢国絵図』と同様、鎮国守国神社のものが現存し、『三重県史 別編 絵図・地図』(1994)で参照できる。

Fig.949 元禄伊勢国絵図 (『三重県史 別編 絵図 ・ 地図』(1994) 所収 ・ 鎮国守国神社所蔵)
Fig.949 元禄伊勢国絵図 (『三重県史 別編 絵図・地図』(1994) 所収・鎮国守国神社所蔵)

大きさは東西 347cm × 南北 580cm で※1、本図の余白部分 (畾紙) にある目録の奥書部分には、元禄13年(1700) 年12月 の日付 (『元禄十三庚辰歳十二月』) と松平越中守・板倉周防守の名前が記されている。

注釈

(5) 天保伊勢国絵図

天保伊勢国絵図』は、江戸期に全国規模で作成された国絵図の最後、天保年間(1830~1844) に作成された天保国絵図のうち伊勢国のものである。冒頭で言及したとおり、『天保伊勢国絵図』は国立公文書館に勘定所旧蔵が現存し、『天保国絵図伊勢国』(#764273) としてオンライン公開されている。ほかに縮図が存在する。ただし縮図については『福井aでは「下図」とある。

紅葉山文庫※1は江戸城内にあった、将軍の利用を原則とする書庫 (図書館) であり、勘定所は勘定奉行を長とする役所である。したがって紅葉山文庫旧蔵は保存と限定的な参照を目的に納められたもの、勘定所旧蔵は実務に供されたものとなるが、紅葉山文庫旧蔵も必要に応じて借用・参照されたようである※2

『天保伊勢国絵図』は大きさが東西 344cm × 南北 580cm で、目録の奥書部分には、全国一律に天保9年(1838) の日付 (『天保9年戊戌五月』) と明楽飛騨守・田口五郎左衛門・大沢主馬の名前が記されている。

注釈

(6) 松平乗命旧蔵

国立公文書館所蔵、松平乗命旧蔵の国絵図群 (通称『日本分国絵図』) には伊勢国のものが含まれ、現存する (#725040)。オンラインでは公開されていない。

この松平乗命旧蔵の国絵図群には、松平乗命から明治政府へ渡る前後 (明治5~6年(1872~1873))に、京都府が一式を借用して忠実に模写したものも存在し、京都府立京都学・歴彩館に現存、館古044: 国絵図という一群で管理されている。その『伊勢国絵図』もオンラインでは公開されていないが、目録は国立公文書館デジタルアーカイブよりもやや充実している。

写本の大きさは東西 79.6cm × 南北 118.2cm で※1、(松平乗命旧蔵としての) 原本の大きさも同様と考えられる。本図については、時期を含む国絵図としての性質を特定するための情報が含まれているのかどうかも含めて、詳細な情報を得られない。

注釈

(7) 一覧

伊勢国絵図の一覧
種別解像度参照名称等
所蔵・公開
余州村名の文字を明瞭に判読可能な高解像度の画像がオンライン公開されている。参照日本六十余州国々切絵図 伊勢国 (#15729)
秋田県公文書館 デジタルアーカイブ 公開
余州村名の文字を明瞭に判読可能な高解像度の画像がオンライン公開されている。参照〔伊勢国絵図〕 (T1-50)
岡山大学 絵図公開データベースシステム 公開
余州村名の文字を明瞭に判読可能な高解像度の画像がオンライン公開されている。参照伊勢国[東海道図]
京都大学 貴重資料デジタルアーカイブ 公開
正保史料としての活用は限定される低解像度の画像がオンライン公開されている。参照正保国絵図 伊勢国
鎮国守国神社 所蔵
元禄史料としての活用は限定される低解像度の画像がオンライン公開されている。参照元禄国絵図 伊勢国
鎮国守国神社 所蔵
天保村名の文字を明瞭に判読可能な高解像度の画像がオンライン公開されている。参照勘定所旧蔵 (#764273)
国立公文書館 デジタルアーカイブ 公開
天保オンラインでは参照できない、またはそもそも一般に公開されていない。参照縮図 (#764187)
国立公文書館 デジタルアーカイブ 公開
不明オンラインでは参照できない、またはそもそも一般に公開されていない。参照松平乗命旧蔵
国立公文書館 デジタルアーカイブ 公開
不明オンラインでは参照できない、またはそもそも一般に公開されていない。参照松平乗命旧蔵(写)
歴史資料アーカイブ 公開 (京都府立京都学・歴彩館 所蔵)

(8) 更新履歴

内容

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  • 『正保伊勢国絵図』『元禄伊勢国絵図』の記事を若干、追補した。
  • 『日本六十余州国々切絵図』『天保伊勢国絵図』の記事を追加した。
  • 松平乗命旧蔵・松平乗命旧蔵(写) を一覧に追加し、記事にまとめた。

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  • 『正保伊勢国絵図』『元禄伊勢国絵図』について記事にまとめた。またそれぞれの外観を示した。

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  • 導入文を追加し、概要を追補した。

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  • 構成を再整理し、概要を追加した。誤字・脱字を適宜修正した。
  • 『天保伊勢国絵図』について外観を示した。

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  • 新規作成。