オンラインで参照できる相模国絵図 (相模国の国絵図) のリストと詳細情報を提供しているページです。

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(1) 概要

相模国 (相州) は東海道に属する国である。国立公文書館所蔵の『天保相模国絵図』は紅葉山文庫旧蔵 (#764293) が現存・オンライン公開されている。

Fig.816 天保相模国絵図 (国立公文書館所蔵)

『24. 高座川左岸』『29. 伊豆山権現領』も参照。

(2) 正保相模国絵図 (金沢文庫所蔵)

神奈川県立金沢文庫には『相模一国之図』が現存し※1、出版物のため解像度には限りがあるが、『江戸時代の神奈川 古絵図でみる風景』(1994 に全体が掲載されている (四方はトリミングされている)。また同書はいくつかの村について『正保改定図』『元禄改定図』と比較することにより、『正保相模国絵図』の写本と考えられると結論づけている。

相模国 足柄下郡と伊豆国 加茂郡の間では、伊豆山権現領に関係して争論 (境論) が発生し、元禄13年(1700) の裁許によって国界 (国境) が変更された (詳細は『29.1. 経緯』を参照)。またこの結果はただちに『元禄相模国絵図』に反映されたことは、その写しである『元禄改定図』で確認できる。一方、本図は前述のように解像度は不十分だが、少なく国界 (国境) は変更される前であることが見て取れる。したがってこの事実からも本図が『正保相模国絵図』である可能性は高い。

本図の大きさは東西 342 × 南北 285cmで、やや小さいもの『天保相模国絵図』と同等であって略式で作成されたものではない。ただし余白部分 (畾紙) には目録がなく、また隣国色分けも施されていない。したがって本図がどのような目的・経緯で写されたのかは、研究課題としてなお興味深い。

絵画的な性質は失われているものの、地理・歴史資料として参照する限り『正保相模国絵図』は『元禄改定図』で代用することができる。

(3) 正保相模国絵図 (国立公文書館所蔵)

国立公文書館所蔵、松平乗命旧蔵の国絵図群 (通称『日本分国絵図』) には相模国のものが含まれる (#725206)。オンライン公開はされていない。大きさは東西 159cm × 南北 135cm※2、『福井』によれば、本図には国郡高の記載がなく、村高も記載されていないものが多いというが、1村の村高の比較だけで『正保相模国絵図』と推定している。

なお松平乗命旧蔵の国絵図群には、松平乗命から明治政府へ渡る前後 (明治5~6年(1872~1873))に、京都府が一式を借用して忠実に模写したものも存在し、京都府立京都学・歴彩館に現存、館古044: 国絵図という一群で管理されている。その『相模国絵図』もオンラインでは公開されていない。大きさは東西 162.3 × 南北 133.9cm※2である。

国立公文書館所蔵には松平乗命旧蔵以外にも相模国の国絵図が相模全図 (#1240028) として現存する。本図の大きさは東西 336cm × 南北 280cm※2※3、『福井』によれば本図にも国郡高の記載はないが、「村高を元禄郷帳と対照するに、すべて図の方が少ない」という。比較した村数は記載されていない。また「全体に極彩色を施し、極めて美麗である」とした上で「元禄図を調製するとき、正保図を忠実に模写したかと推定される」と結論づけている。

『福井』における検討は基本的に不十分で、そのまま信頼するわけにはいかないものの、本図については大きさが『相模一国之図』と同等であり、また寒川町史 6 通史 原始・古代・中世・近世 (1998) に収録されている部分を見る限りはその信憑性は高いようである。

(4) 元禄相模国絵図

『元禄相模国絵図』は現存を確認できない。しかし絵画的な性質は失われているものの、地理・歴史資料として参照する限りは『元禄改定図』で問題なく代用できる。

(5) 天保相模国絵図

冒頭で言及のとおり、『天保相模国絵図』は国立公文書館に紅葉山文庫旧蔵 (#764293) が現存・オンライン公開されている。

紅葉山文庫※4は江戸城内にあった書庫、勘定所は勘定奉行を長とする役所であり、したがって紅葉山文庫旧蔵は保存と限定的な参照目的のために納められたもの、勘定所旧蔵は実務に供されたものとなるが、紅葉山旧蔵も必要に応じて借用・参照されたようである※5

『天保相模国絵図』は東西 359cm × 南北 312cm、目録の奥書部分には、全国一律に天保9年(1838) の日付 (『天保9年戊戌五月』) と明楽飛騨守・田口五郎左衛門・大沢主馬の名前が記されている。天保国絵図一般については『9. 天保国絵図』を参照のこと。

注釈
^ ※1: 『神奈川県立金沢文庫蔵書目録 主題別参考文献目録 3 絵図・地図・拓本編』、c.19、#330。
^ ※2: 数値が東西・南北のどちらかは本稿で判断した。
^ ※3: 国立公文書館の目録 (関連事項) では東西 280cm × 南北 336cmとある。
^ ※4: 「紅葉山文庫」はほかの各種用語と同様、近代以降の俗称・学術用語。近世は主に「御文庫」と呼ばれ、「官庫」とも呼ばれた。
^ ※5: 『紅葉山文庫』(1980)
(6) 一覧

『凡例』

種別参照可否確定名称等所蔵・公開備考
確定根拠
余州当該国絵図であることが確定した、村名の文字を明瞭に判読可能な高解像度の画像がオンライン公開されている。所蔵#120501秋田県公文書館 デジタルアーカイブ
余州当該国絵図であることが確定した、村名の文字を明瞭に判読可能な高解像度の画像がオンライン公開されている。所蔵#15709秋田県公文書館 デジタルアーカイブ
余州当該国絵図であることが確定した、村名の文字を明瞭に判読可能な高解像度の画像がオンライン公開されている。筆者T1-73岡山大学 絵図公開 データベースシステム
余州当該国絵図であることが確定した、村名の文字を明瞭に判読可能な高解像度の画像がオンライン公開されている。筆者相模国[東海道図]京都大学貴重資料 デジタルアーカイブ
正保当該国絵図であることが確定しているが非公開、オンラインで参照できない。その他相模一国之図神奈川県 立金沢文庫参照
正保当該国絵図であることが確定しているが非公開、オンラインで参照できない。福井松平乗命旧蔵国立公文書館 デジタルアーカイブ参照
正保当該国絵図であることが確定しているが非公開、オンラインで参照できない。筆者松平乗命旧蔵(写)歴史資料アーカイブ (京都府立京都学・歴彩館所蔵)参照
正保当該国絵図であることが確定しているが非公開、オンラインで参照できない。福井相模全図国立公文書館 デジタルアーカイブ参照
正保当該国絵図であることが確定した、村名の文字を明瞭に判読可能な高解像度の画像がオンライン公開されている。備考正保改定図国立公文書館 デジタルアーカイブ 『新編相模国風土記稿』に所収、『正保相模国絵図』が郡ごとに分割されて収められている。
元禄当該国絵図であることが確定した、村名の文字を明瞭に判読可能な高解像度の画像がオンライン公開されている。備考元禄改定図国立公文書館 デジタルアーカイブ 同じく『新編相模国風土記稿』に所収、『元禄相模国絵図』が郡ごとに分割されて収められている。
天保当該国絵図であることが確定した、村名の文字を明瞭に判読可能な高解像度の画像がオンライン公開されている。所蔵#764293国立公文書館 デジタルアーカイブ正 (紅葉山)
(7) 更新履歴

2026.03.29:

2026.02.18:

2026.01.31:

2026.01.02: